JSA(共同警備区域)
最近の韓国映画は目を見張るのが多い。
この映画も評判に反せず
今の南北朝鮮関係を端的に表現した優れた作品
と言える。
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物語は美人調査官の登場から始まる。
すごく日本的ないい女が調査官の役だ。
結果的にこの美人調査官が2人の兵士を殺してしまう。
いつの世も兵士の思考は一種独特なのだ。
全般的に映像は悪くない。夜のシーンも昼のシーンも迫力を持っている。
物語進行も非常によろしい。回想シーンを非常にうまく取り入れている。
見ている者は,あたかも自分が発砲事件の調査をしている気分に捕らわれる。
それより何より凄いのはセリフだ。
朝鮮語が全く分からんので字幕に頼るしかないんだけど,
南北兵士の微妙な駆け引きの入った会話が,
我々に南北朝鮮の状況を嫌がおうでも分からさしめる。
楽しそうな会話の中の緊張感。
ふざけ合ってる南北兵士の間にある疎外感。
例え言語は分からなくても監督の意思は十分に伝わってくる。
この映画は,決して現在の南北朝鮮の問題提起をしてるわけではない。
ましてや,現状の責任を誰かに問うているわけでもない。
淡々と現状を訴えているだけで,
誰が悪いのか
なんて犯人探しは皆無である。
けど,
全く南北朝鮮の歴史に疎い人にも
それなりに感動は植え付けているし,
南北朝鮮の歴史に詳しい人には,
大国間のエゴが生んだ悲劇を十分感じ取ることができる。
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日本も一歩間違えば南北に分割統治されていたかもしれない。
ちょっとした歴史の幸運が日本のボンクラ政治家が救った。
こればかりはよかったと思うしかない。
さらに,1945年8月15日を過ぎてまで,
北の島々で戦った兵士達に感謝せずにはいられない。
M君に言わせると私はかなり右寄りの人間らしい。
まぁ,私の友達なんざ会社で兵隊さんって呼ばれているらしいから,
まだマシだ。
この文章は
かなり右寄りの人間が書いたと思って読んでいただければ幸いである
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実はこの映画を見た後にシュリをDVDで見た。
物語的には少し理解できない部分もあるが,
全般的にはかなり優れている。
日本映画はかなり遅れをとっている。
どうしたんだい!
最高興行収入が千と千尋じゃあ黒澤監督が草葉の陰で泣いてるゾ!
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この映画の,ご教訓
・日本に生まれてよかった。
・この映画だけはチャカせない。
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