スターリングラード
戦争オタクの私としては,この映画をずっと期待していた。
歴史としてどうあれ,
映画としては,かなり興奮の連続
であった。
*****
スターリングラードはドイツ軍とソ連軍の戦いである。
双方の状況が,
迫力ある映像と共に余す無く映し出される。
そろそろ戦闘場面に飽きた頃,
物語は次の展開へと進んでいく。
退屈させない素晴らしい構成である。
近代の戦争の中心は集団戦闘である。
この映画は,近代戦争において,
中世の一騎打ちの概念で作られている。
狙撃手同士の戦いという,
おおよそ実戦では起こりそうにない状況を
リアルに描いているところが凄い。
もちろん近代戦争なので,一騎打ちだけはなく,
彼らを取り巻く戦闘集団や民間人達を見事に融和させている。
とにかく見ていて違和感がない。
残念なのは,最後の場面だ。
狙撃手が相手に声を掛けてから射撃することはありえない。
もっとも,監督にしてみれば,ここで一騎打ちを
表現したかったとは思うが,
私はシラけてしまった。
*****
この映画のテーマたるスターリングラードの戦いは何度か映画になっている。
ただし,この映画ほどソ連軍がボロクソに撮られている映画は知らない。
第2次世界大戦で最も人的被害が大きかったのはソ連だから,
かなり史実に近いと思うが,
よくロシアから文句が出なかったもんだ。
現在の評価では,スターリングラード自身,戦略上全く無意味だと言われている。
ヒトラーの意地のために多くの人が犠牲になった。
我日本帝国も先の大東亜戦争では,無意味な作戦を数多く実施し,
多数の戦死者を出している。しかし,責任は誰も取っていない。
ちょうど,今の日本経済の責任を誰もとっていないのと同じである。
======
この映画の,ご教訓
・狙撃手にはなりたくない。
・戦地でのシャワーは我慢するべきだ。
・先送りは日本の専売特許ではない。
●独断的映画評論2001年版目次へ戻る