ハンニバル


 凄かったの一言。 気の弱い女性は見ない方がいいような残酷なシーンだが, それだけじゃあないところが,この映画の魅力だ。
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 羊たちの沈黙の続編である。 前作で自由の身になったレクター博士と彼を追うクラリスの確執を描く。 単純なホラー映画ではなく, かと言って残酷映画一色でもない。 もちろん, アンソニー・ホプキンス演じる知的で冷静なキ印レクター博士が主人公だ。 彼がスクリーンに現れると,一種独特の雰囲気に引き込まれていく。 もちろんこの映画はDVDが発売されても,食事中には見ない方がいいだろう。
 映画の作りとしては,前作とよく似ている。 限られた時間で,多くのストーリを展開するので, よく見てないと,因果関係が分かりにくい。 でも倫理的に構成されているのでシーンに無理がない。 後で少し考えれば分かるように出来ている。
 流れる音楽が奮っている。 オペラやワルツのメロディーに乗せて行われる殺人。 音の特殊効果もなく,美しい音楽の中に恐ろしさを感じる。 レクター博士に優しささえ感じてしまう。 これは危険だゾ。
 最後の手首を切り落とすシーンに違和感を感じるたのは私だけではないだろう。 後で聞いた話だけど,ここだけは原作とは異なるらしい。 このシーンがレクター博士とクラリスの関係を端的に表現している。 けど,やっぱり,知的で冷静なキ印の行動としては, 原作どおりにやって欲しかった。
 この映画にゲーリ・オールドマンが出演してる。 最初,誰か分からんかったけど,掲示板で顔の潰れた大富豪 ってお教え頂いた。(ありがとう) そう言えば,ゲーリの顔だ。ありゃあ分からんわな。 公式HomePageのどこを見てもゲーリのことは書かれていない。 なぜか,理由を知っている人はお教え下さいませ。
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レクター博士は確かに残酷だ。 まちがいなくキ印なんだけど,なぜか憎めない。 おそらく,行動が論理的で,常に理由があるからだろう。 彼に危険な親近感を覚えるのは私だけか?
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 この映画の,ご教訓
・レクター博士には近付かない方がいいだろう。
・レクター博士に憧れる奴にも近付かない方がいいだろう。
・上司に逆らうとロクなことはない!

独断的映画評論2001年版目次へ戻る