猿の惑星


 前の猿の惑星を見たのはいつのことだろう。 何しろCGの無い時代だから, リアルな猿のメークに驚いた。 この映画も前作に劣らず 単純に楽しい映画 だった。
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 物語は,と,言っても,今回は最初から筋は分かってしまってるので, それほどの驚きはない。もちろん細部では異なるんだけど, ああこのチンパンジーが,とか, この宇宙船が,とか, 簡単に想像できる。 前作の筋を全く知らないで見ると,それなりに興奮もするだろうけど, 残念ながら,前作の筋をはっきりくっきり覚えている私は, 少々白け気味だった。
 それにしても,冒頭の場面は戴けない。 軍隊ってところは上官の命令には,そう簡単には逆らえない。 というより,逆らわない兵士を育てている。 勝手に宇宙船を飛び出すなんて,ちょっと信じ難い。 ちょっと軍隊を馬鹿にしてるんじゃあないの,と,考えてしまう。 最初からおとぼけなんで, 後は語らずとも分かってしまう。
 この映画に限らず,タイムマシンものは, どうしても,時間パラドックスに対する疑問に答えてくれない。 まだ解明されていないのだから,当然と言えば,当然なんだけど, どうしても,違和感から逃れられない。 要するに馬鹿げてるのだ。 アホらしい映画なんだから, 猿君達の文明にケチをつけるわけにもいかない。
 猿と人間の戦争も戴けない。 話の筋から考えても,どうして戦わなければならないのかが,サッパリ分からん。 宗教問題でもなく,領土問題でもない。 強いて言えば,映画のための戦争ということになるのか。 それなら,もう少し知恵を使って, 400年前の秀吉が得意とした水攻めにしてくれよな。
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 大阪の北の箕面(みのお)という山に猿がいる。 なかなかズル賢いし,厚かましい。 チョットした隙に食いモンは盗っていく。 けど,ちゃんと社会生活を営み,子供を育んでいる。 猿より劣る人間がだんだん増えてきた今日この頃。 ぜひ,猿山を観察して欲しいものだ。
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 この映画の,ご教訓
・猿を怒らせると怖いぞ。
・いくら落ちぶれても猿には助けて欲しくない。
・上司の命令に逆うな!

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