天使のくれた時間


 おおよそ私には似合わない映画なんだけど,何となく心暖まる物語に触れたくて,観てみることにした。 久しぶりにほのぼのとした気分に浸れて,気分は最高
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 物語は大成功して大金持ちのケイジ君の一日から始まる。 広いマンション。 ブランドスーツ。 かっこいい車。 いい女。 ほとんどの男が憧れる世界にいるケイジ君。 いったい何が不満なんだろうか,と,思ってしまう。
 フトした機会に13年前に戻る。 この辺はSF映画じゃないので深く考えてはいけない。 オーロラの彼方へ と同じノリだ。 そこで表れた世界が別れた女との家庭。 これも,また, そんな空想に心を馳せている男女も多いことだろう。
 結局のところ,ケイジ君は,タイヤ屋を辞めて, 元の世界に近付いて行く。 彼はそれが家庭から遠ざかることに気付いていない。 男の心根はいつも同じといことなんかなぁ。
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 さて,さて,この映画の主題は, 大成功して大金持ち か, 暖かい家庭人 かの選択である。
 どちらを選んでも,それなりの幸せを得ることができそうに思うけど, この映画は,そんなあやふやな選択を許さない。 どこまでも,単一の選択を迫る。 家庭と仕事の両立なんぞ,はなから信じていない。 どうしても,仕事=悪というイメージを視聴者に植え付けたいみたいだ。
 実際,この日本には, ケイジ君のような男はゴロゴロいる。 男は夢が多いんだ。
 私のような若造が言うには,少し心憚るが, 確かに人生には幾つかの分岐点が存在する。 誰しも年を取るに連れ,分岐点の通過が多くなるだろう。 もし,あのとき,あっちの道を選べばなんて, 空想に耽ることもあるだろう。
 さて,女の方は,と言うと, この日本に,この映画のヒロインのような女性が何人いるだろうか?
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 この映画の,ご教訓
・金銭的に成功した奴は家庭が無い。
・過去に戻れるなら戻りたい。
・せっかく別れた女のところに戻るのは?

独断的映画評論2001年版目次へ戻る